社労士・岩壁
コンテンツ
所得税の決まり方
所得税は1年間累計(1~12月)の所得額で決定しますので、1年が終わらないと所得税額を確定できません。
だからと言って1年間が終わった後に一気に所得税を納めるのでは納付者の負担も大きくなります。
そこで、所得税については毎月の給与から暫定額を徴収します。
給与控除されている所得税は“仮”の金額なのです。
そして1年間が終わったら年間の所得税額を確定させます。
確定した所得税額と暫定徴収した所得税額を比較し、徴収が多ければ還付・少なければ追徴になります。
これが毎年行う年末調整です。
所得税が暫定額であることを知らない人の方が多いですから、これを知っていると年末調整を理解しやすくなります
住民税の決まり方
住民税は役所が計算する
住民税は前年所得に対して課税され確定額を徴収します。
会社は年末調整が終わったら、あなたの住んでいる市区町村に給与支払報告書を提出しなければなりません。
給与支払報告書にはあなたの1年間の給与額・所得税額・社会保険料・税扶養の内容が記載されています。(源泉徴収票とほぼ同じもの)
この情報を基にして市区町村があなたの住民税を計算し、会社に徴収すべき住民税額を5月頃に通知します。(住民税の徴収期間は毎年6月~翌年5月が一年度)
所得税と住民税の違い
所得税と住民税の違いは大きく「 いつの所得に対して課税されるのか 」「 税額計算は誰が行うのか 」の2つにまとめられます。
所得税 | 住民税 | |
---|---|---|
いつの所得に対して課税されるのか | “今”の所得に対して課税される | “過去(前年)”の所得に対して課税される |
税額計算は誰が行うのか | 会社が給与支払い時に計算してする(最終的に年末調整で精算) | 市区町村が計算して会社に徴収額を通知する |
起業(会社設立)後の手続き
所得税
役員が法人から受ける役員報酬は、個人の所得税面では会社員と同じ給与所得になります。
よって給与と同じように毎月の役員報酬から源泉所得税を控除し、会社で年末調整をします。
しかし役員報酬が高額な場合など年末調整ができないケースは確定申告で対応しなければなりません。
住民税
設立した法人で給与控除(特別徴収)をすることになります。
その法人で給与控除することを市区町村に伝えるために、市区町村に対して特別徴収の手続き書類を提出してください。
手続き完了後に市区町村から特別徴収決定通知書が送られてきます。
そこに何月にいくら徴収しなければならないかが記載されていますので、その金額指示に従って徴収・納付をしてください。
源泉所得税の納付特例
給与から所得税を徴収したら翌月10日までに税務署へ納付しなければなりません。
しかし給与支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者の場合は、所得税納付が次のように年2回にできる特例があります。
- 1月から6月までに源泉徴収した所得税…7月10日までに納付
- 7月から12月までに源泉徴収した所得税…翌年1月20日までに納付
資金繰りなどを考慮して必要があれば特例承認申請書を税務署まで提出しましょう。
源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。
国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」(抜粋)
しかし、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を、半年分まとめて納めることができる特例があります。
会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことになっています。
国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」(抜粋)
そして、差し引いた所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。
この所得税及び復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。
まとめ
- 所得税は設立した法人の年末調整で精算する
- 住民税は特別徴収手続き書類を提出して、役所からの通知書に従って徴収する