社労士・岩壁
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労働保険保険関係成立・概算保険料申告
保険関係成立届
従業員を初めて雇用したら労働保険関係成立届を事業所管轄の労働基準監督署へ提出しましょう。
労働保険は原則として事業所単位での適用となるため、例えば店舗展開している企業や全国に支店・営業所がある企業は、その事業所(場所)単位での適用となります。
ただし事務簡素化を図る目的で、店舗や営業所を本社等でまとめて保険料事務等を行う一括認可の手続きも可能です。(本記事では詳細省略)
概算保険料申告
電子申請で保険関係成立届を提出したら先に労働保険番号が発番されますので、その労働保険番号で概算保険料の申告を行います。
概算保険料の計算
年度
労働保険料の年度は毎年4月~翌年3月が1年度です。
例えば初めて従業員雇用を2021年5月1日にした場合、初年度の保険料対象期間は2021年5月1日~2022年3月31日となり、それ以降は毎年4月1日~翌年3月31日を1年度サイクルとして保険料を計算していきます。
保険料計算
次の前提でまず初年度の保険料を計算してみましょう。
- 労災保険料率 その他の各種事業(3/1000)
- 雇用保険料率 一般の事業(9/1000)
- 年度の賃金総額見込み 5,000,000円
※保険料率は2021年度のものであり事業内容により異なります。
なお上記のうち、雇用保険は3/1000は個人負担になりますが、保険料支払いの際には会社が一旦全額を立て替えて支払うような形となります。
納付期限
初回の成立時は、成立日の翌日から50日以内に概算保険料を納付する必要があります。納付方法は納付書、または 電子納付(ペイジー) が可能です。
年度更新
前年度確定保険料の精算
概算の場合は見込み賃金額で保険料を計算しましたが1年度が終了したら、実際の賃金額によって確定保険料を計算します。(毎年6月~7月10日が労働保険年度更新時期)
確定保険料計算の場合は、併せて一般拠出金の計算(0.02/1000)も行います。
上記例で2021年5月~2022年3月の賃金が5,400,000円だったとしたら
一般拠出金 5,400,000円×0.02/1000=108円
概算保険料で60,000円を支払っているので確定保険料64,800円との差額4,800円、および一般拠出金108円を支払うこととなります。
今年度概算保険料
確定保険料の精算と同時に今年度の概算保険料も計算・納付しますが、新年度の概算保険料は確定保険料計算で使った賃金額を見込みとして使用します。
図解
毎年、前年度確定精算&新年度概算保険料の納付を毎年繰り返します。
申告・納付期限
労働保険の年度更新は毎年6月~7月10日までに済ませ、保険料の納付も済ませなければなりません。
概算保険料が40万円以上(労災・雇用保険のどちらか一方のみが成立している場合は20万円以上)であれば3分割しての納付が可能です。分割ができない場合は第1期に全額納付しなければなりません。
第1期 | 第2期 | 第3期 |
7月10日 | 10月31日 | 1月31日 |
納付方法
納付書による納付、電子納付(ペイジー)の他、口座振替も可能です。
口座振替の場合は納付日がそれぞれ下記のとおりに延ばされるため、会社の資金繰りとしては有利になります。
第1期 | 第2期 | 第3期 | |
通常 | 7月10日 | 10月31日 | 1月31日 |
口座振替利用時 | 9月6日 | 11月14日 | 2月14日 |
口座振替手続きには期限がありますので、ご希望の場合は余裕をもってお手続きをしてください。
参考 労働保険料等の口座振替納付厚生労働省まとめ
- 労働保険料は概算として前払いをする
- 毎年、概算と確定の差額精算を行う
- 差額精算と同時に、新年度の概算を支払うサイクルを繰り返す