社労士・岩壁
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失業保険(雇用保険の基本手当)とは
失業保険の概要
アルバイトであっても週20時間以上の労働をする場合は、一定の例外を除いて雇用保険に加入しなければなりません。
条件に合致すれば加入は義務です。
「本人の希望に任せる」「本人が申請してきたら加入させる」という企業もあるようですが、これらの対応は違法なのでご注意ください。
雇用保険の中で代表的な給付が一般的に失業保険や失業給付と呼ばれている”基本手当”ですが、本記事では以降、便宜的に基本手当を「失業保険」という言い方に統一します。
失業保険では次のとおり給付金額が支給されます。
- 基本手当日額(失業1日あたりの給付金)…在職時賃金額の45~80%
- 給付日数(支給される最大日数)…90~360日
(※) これらは年齢・雇用保険加入期間・離職理由によって変わります。
基本手当日額の簡易計算方法
離職前6ヵ月に受け取った賃金額総額 ÷ 180日 × 50~80%(60歳~64歳については45~80%)
なお、賞与などの臨時的賃金は含みません。
給付日数
自己都合退職の場合は90~150日(ただし雇用保険加入期間1年未満は0日)
(※)倒産等で離職した場合は日数が増えます。
失業保険の受給要件
失業保険には受給要件がありますので、退職したからと言ってすぐに受け取れるわけではありません。
また、離職したら必ずもらえるものではなく、「失業の状態にあってすぐに働けること」が受給要件になります。
「失業の状態にあってすぐに働けること」とは以下3つの要件をクリアしていることです。
①就職したいという積極的な意思
②就職できる能力(健康状態・家庭環境など)
③積極的に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない状態
厚生労働省「離職された皆様へ」(要約)
例えば次のような例では失業保険を受け取れません。
- 病気、出産、育児ですぐに働けない
- 次の就職先がもう決まっている
- しばらく就職する気がない
起業準備中でも失業保険を受け取れるか
社労士・岩壁
前記「離職された皆様へ」のページ番号1後半に次の記載があります。
③ 次のような方は、原則として求職者給付の支給を受けられません
(前記「離職された皆様へ」より抜粋)
④ 自営を開始、または自営準備に専念する方(求職活動中に創業の準備・検討を行う方は支給可能な場合があります)
⑦ 自分の名義で事業を営んでいる方
独立・起業する方はここに該当しますので、失業保険を受けることはできません。
ただし起業準備中だから絶対に失業保険を受け取れないというわけではなく、次のようなケースであれば起業準備中でも失業保険を受け取れる可能性はあります。(あくまで可能性です、受給を確約するものではありません)
- 再就職か起業か迷っている(どちらも可能性がある)
- 求職活動は並行して行っている
起業前提で求職活動を行わない場合は失業保険は受け取れません。
また、仮に起業か再就職か迷っている場合であって失業保険を受給できたとしても、自己都合退職した場合は3ヵ月間の給付制限がかかりますのでご注意ください。
申請から7日の待期期間と3ヵ月の給付制限を合わせると、最速で手続きをしたとしても離職から4ヵ月前後は給付金は入りません。(起算は「離職から」ではなく「失業保険受給を申請してから」です)
ですから起業を前提として会社を辞めるのであれば失業保険の収入はアテにしてはいけないお金ということになります。
まとめ
- 独立や起業をする場合は原則として失業保険は受けられない
- 再就職の可能性も残っており、並行して求職活動をするなら失業保険を受けられる場合がある
- 不正受給にならないよう事前にハローワークにきちんと相談すること