社労士・岩壁
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健康診断の実施義務
企業に実施義務が課せられている健康診断は下記の種類があります。
- 雇入時の健康診断(労働安全衛生規則第43条)
- 定期健康診断(労働安全衛生規則第44条)
- 特定業務従事者の健康診断(労働安全衛生規則第45条)
- 海外派遣労働者の健康診断(労働安全衛生規則第45条の2)
- 給食従業員の検便(労働安全衛生規則第47条)
この中で業界や職種に関係なく実施しなければならないのは「雇入時の健康診断(労働安全衛生規則第43条)」「定期健康診断(労働安全衛生規則第44条)」の2つです。
基本的に正社員やフルタイム勤務の場合は健康診断は義務であり、従業員50人以上の事業所については健康診断結果報告書を労働基準監督署に提出する必要があります。
アルバイト等の短時間労働者であっても、1年以上雇用予定で正社員の3/4以上勤務する場合には同様に健康診断実施が義務となります。(健康保険・厚生年金の加入基準と同様)
一方、1年未満の雇用予定又は正社員の3/4未満の場合は健康診断の実施は努力義務となっており、必ずしも実施する必要はありません。
このような健康診断実施義務のない従業員に対して健康診断を実施した場合に受給できるのがキャリアアップ助成金(健康診断制度コース)です。
なお一定の有害業務従事者に実施する特殊健康診断がありますが、この特殊健康診断は雇用形態や労働時間に関係なく該当する従業員に実施義務があります。
健康診断制度コース
概要
このコースは簡単に言うと”健康診断義務のない従業員”に対して、健康診断を受けさせる制度を就業規則に規定して実施することです。
健康診断制度とは以下のものを指します。
- 雇入時健康診断制度
- 定期健康診断制度
- (有期契約労働者を対象とする)人間ドック
必ずしも全てを導入する必要はなく、3つの内いずれかの健康診断制度だけでも問題ありません。
これらの制度を規定し、キャリアアップ計画期間内に対象労働者4人以上が健康診断を受診した場合に助成金が支給されます。
対象者
- 雇用契約期間が1年以上予定されていない、または正社員の3/4未満の労働時間 (=健康診断実施義務のない短時間労働者)
- 健康診断実施日に雇用保険被保険者である
- 事業主や取締役の3親等以内の親族でない
- 支給申請日において離職していない
等。
助成金額
1事業所当たり38万円<48万円>(28万5,000円<36万円>)
<>内は生産性が向上した場合、()内は中小企業以外の場合
ただし受給できるのは1事業所1回限りです。
手続きの流れ
社労士・岩壁
まとめ
- 法律上義務のない労働者に対して健康診断制度を規定して実施
- 計画期間中に対象労働者4人以上の受診が必要
- 助成金額は原則38万円、ただし支給は1回のみ