起業後の自分の社会保険手続き

社労士・岩壁

会社員時代は当たり前のように健康保険・厚生年金に入っています。でも起業したら自分の社会保険はどうなるの?手続きは何か必要?なんて感じている方もいると思います。
この記事を読めば自分が起業した後に、社会保険手続きはどうすれば良いのかきっと分かります。

社会保険(健康保険・厚生年金)

法人の場合

法人は健康保険・厚生年金の強制適用事業所となり、社長一人法人であっても会社として健康保険・厚生年金に加入する義務があります。

健康保険と厚生年金は基本的にセットとなるため、どちらかだけ加入することはできません。

健康保険

健康保険に加入するには下記どちらかに属する必要があります。

  • 健康保険組合(通常は同業種やグループ会社で組織)
  • 全国健康保険協会(健康保険組合加入でない企業が加入する。通常“協会けんぽ”と呼ばれる)

法によって最低基準はあるものの、保障内容や保険料は組合によって異なります。(例えば協会けんぽの場合、保障内容は同じですが保険料率は都道府県ごとに決定します)

起業前であるならば自分が入れそうな健康保険組合を探して検討すると良いでしょう。

グループで健康保険組合を持っている場合は原則としてグループ企業しか加入できないので、同業種で集まっている健康保険組合を探します。

注意
健康保険組合は独自の加入基準を設けている場合があります。同業種だからと言って必ずその健康保険組合に加入できるとは限りません。

厚生年金

健康保険と異なり、年金は厚生年金で一元化されています。

個人事業主の場合

個人事業主は健康保険組合(協会けんぽ)と厚生年金には加入できません。

よって選択肢は以下3つになります。

原則

健康保険は市区町村の国民健康保険、年金は国民年金に加入します。

前職の任意継続

健康保険は前職の任意継続、年金は国民年金に加入します。

任意継続は原則2年間で、資格喪失日から20日以内に自分で申請しなければなりません。

また保険料も会社負担だった部分を自分で払うことになりますので、単純計算で2倍になります。(協会けんぽの場合、2019年4月時点で標準報酬月額30万円の保険料が上限)

任意継続終了後は「原則」か「家族の扶養」へと移行します。

参考 「任意継続の加入条件について」全国健康保険協会

家族の扶養

健康保険は家族の扶養、年金は国民年金(※)に加入します。

(※)配偶者の扶養に入ると年金も扶養扱いになり、健康保険・国民年金ともに支払い義務はありません。

扶養の条件は次の両方に該当する場合です。

  • 年収130万円未満(60歳以上または一定の障害者の場合は180万円)
    ここでの年収基準は累計ではなく「今後1年間の見込み」という意味です。原則的には「月収約108,333円以下(130万円÷12か月)」というように理解してください。
  • 扶養される人の年収が扶養する人の2分の1未満

その他、扶養する人・される人の関係性によっては同居要件や生計維持要件が加わります。

詳細は扶養する人が勤務する企業、または加入する健康保険組合にお問い合わせください。

適用事業になる個人事業主の注意点

個人事業であっても一定事業で従業員5人以上の場合は法人と同じように強制適用事業所になります。

しかし健康保険と厚生年金に加入できるのは従業員のみであり、事業主は国民健康保険・国民年金のままです。

経営者自身が健康保険と厚生年金に加入したい場合は法人化をしてください。

参考 適用事業所と被保険者日本年金機構

労働保険

雇用保険

雇用保険・労災保険を合わせて労働保険といいますが、労働保険は文字通り労働者のための保険です。

法人代表や個人事業主は労働者ではありませんから雇用保険には加入できません。

労災保険

労災保険も雇用保険同様に原則として法人代表や個人事業主は加入できませんが、一定条件に当てはまれば下記の特別加入ができます。

中小事業主等

一定規模以下の事業主が対象です。

加入対象者

  1. 下表に定める労働者を常時使用する事業主
  2. 1の事業主の事業に従事する労働者以外の人(家族従事者、代表以外の役員など)

特別加入が認められる企業規模

業種 労働者数
金融業、保険業、不動産業、小売業 50人以下
卸売業、サービス業 100人以下
上記以外 300人以下

加入条件

  1. 労働者について労働保険関係が成立していること
  2. 労働保険事務処理を労働保険事務組合に委託していること

一人親方等

労働者を使用せず一人で事業を行っている人が対象です。

加入対象者

  1. 自動車を使用する旅客・貨物の運送業(個人タクシーなど)
  2. 土木・建築業(大工、左官、とび職人など)
  3. 漁船による水産動植物採捕業
  4. 林業
  5. 医薬品設置販売業
  6. 再生利用目的となる廃棄物などの収集・運搬・選別・解体などの事業

加入条件

特別加入団体を通じて加入すること。

特定作業従事者

加入対象者

  1. 特定農作業従事者
  2. 指定農業機械作業従事者
  3. 国または地方公共団体が実施する訓練従事者
  4. 家内労働者とその補助者
  5. 労働組合等の常勤役員
  6. 介護作業従事者および家事支援従事者

加入条件

特別加入団体を通じて加入すること。

参考 労災保険への特別加入厚生労働省

社労士・岩壁

兼務取締役の場合は従業員の扱いを受ける範囲で加入できます。でも代表取締役は残念ですが加入できません。
そのような場合は雇用保険・労災保険の代わりになる保険を
民間保険会社の商品から探すことになります。

まとめ

  法人 個人事業主
健康保険 ①健康保険組合
②協会けんぽ
①国民健康保険
②前職の任意継続
③家族の扶養
年金 厚生年金 国民年金(上記③のうち、配偶者の扶養の場合は保険料支払い無し)
雇用保険 加入なし 加入なし
労災保険 一定条件で特別加入あり 一定条件で特別加入あり

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