就業規則テンプレート集と使用時の注意点

社労士・岩壁

就業規則を作成する時にテンプレートは活用方法を間違えなければ有用です。しかし多くの企業で使い回せるようあくまで一般的な内容にとどまっているため、使い方を間違えると会社を守れない役立たずです。就業規則テンプレートが欲しい方向けにテンプレート集を、そしてテンプレートを使って就業規則を作成する場合の注意点をまとめました。

就業規則テンプレート集

就業規則のテンプレートは様々なWEBサイトに存在しますが、一番有名なのは厚生労働省のモデル就業規則です。

しかし、これらは全て汎用性高く作ってあるため、個々の企業に合うような定めにはなっておらず、使い方を間違えるとトラブル発生時に会社を守れない就業規則になります。

後述する就業規則テンプレート使用時の注意点もあわせてお読みください。

サイト名 リンク
厚生労働省 モデル就業規則について
労務ドットコム 就業規則
bizocean 就業規則のテンプレート・フォーマット・サンプル
TOKYOはたらくネット 就業規則例

 

リンク先に掲載されている就業規則テンプレートの適法性や内容の妥当性等を保証するものではありません。

ご使用する場合は自己責任にてお願いいたします。

2019年7月現在、東京労働局のWEBサイトにもモデル就業規則が掲載されており、厚生労働省のモデル就業規則と同じ厚生労働省労働基準局監督課の作成です。

しかし東京労働局が掲載している就業規則は平成25年(2013年)版であり、厚生労働省のモデル就業規則は平成31年(2019年)版です。

東京労働局WEBサイトにあるモデル就業規則は古いため使用しないことを推奨します。

テンプレートと外注の違い

就業規則を作ろうと思ったら、作成の手段はいくつか存在します。

  1. 自作する(テンプレート使用)
  2. 外注する(社労士)
  3. 外注する(弁護士)

それぞれの比較をしてみましょう。(弁護士については労働問題を専門にしている弁護士を想定しています)

  ①テンプレート ②社労士 ③弁護士
作成費用

(基本0円)

×

(数万~数十万円)

×

(数万~数十万円)

作成の手間 ×
作成スピード 担当者次第 〇 ~ △
メンテナンス 自前 契約次第 契約次第
内容チェック 自前
依頼しやすさ

(ダウンロードのみ)

制度の策定 自前 △ ~ ×

あくまでも一般的な部分での比較であり、外注であっても最終的には人によります。

この比較から、それぞれの手段は次のような人に向いていると言えます。

テンプレートを使うべき人
時間を使ってでもとにかく費用をかけたくない人はテンプレートを使うべきです。また、就業規則の重要性というよりは、まず形だけでも作っておきたいという人もテンプレートで良いでしょう。(ただし形だけ作った就業規則は場合によって企業に不利になりますので、このような考えでテンプレートを使用することは推奨しません)
社労士へ外注すべき人
実務に精通した人に依頼したい人は社労士に外注すべきです。社労士と弁護士の大きな違いは”実務”です。労働分野に強い弁護士であっても業務的には法律相談や裁判の弁護が中心であるため、例えば給与制度策定などの実務相談には乗らない人も多くいます。一方、社労士は実務分野としての専門家であるため雇用助成金も絡めて提案することができます。
弁護士へ外注すべき人
何よりもリーガルチェックを重視したい人は弁護士に依頼すべきです。弁護士は法律資格の最高峰ですから、民法全般含めると社労士よりも圧倒的に強いと言えます。ただし前記のように、弁護士で実務を受ける人は少ないため、実際には就業規則作成を依頼できるケースはあまりないでしょう。また就業規則だけに限定すると、その分野の専門家である社労士でも全く問題はないと言えます。

テンプレート利用時の注意例

雇用形態別に作っているか

一般的に正社員とアルバイトでは適用されるルールが異なります。

適用ルールが違うのであれば、きちんと雇用形態や職種ごとに整備をしましょう。

必ずしも別冊子にする必要はありませんが、その場合はどの規定が誰に適用されるのかを明確に記載してください。

厚生労働省のモデル就業規則では第2条で労働者とパートタイム労働者の2種類しか区別していません。

これは不合理な待遇差禁止を意識してこうしているものと思われます。

しかし職務内容などから合理的な差を設けてはいけないわけではありません。

職務内容等を勘案して合理的な差を設けるのであれば、有期契約社員や定年後再雇用者の適用範囲もきちんと定めるべきです。

無条件に一律同じになっていないか

例えば休職は法律上の定めがないため、企業が基本的に自由に決めてよい項目です。(設ける義務すらありません)

厚生労働省のモデル就業規則に休職の定めが設けられていますが、ここには全く適用条件が書いてありません。

しかし休職期間は勤続年数等に応じて決めらることが一般的です。

入社していきなり休職されても企業は困りますよね。

モデル就業規則をそのまま使うと、場合によっては会社のクビが締まります。

モデル就業規則は”良かれ”と思って定めている

モデル就業規則にはきちんと説明もついていて、例えば慶弔休暇・病気休暇に関しては必ず定めなければならないものではない旨の記載があります。

しかし、こういった説明をくまなく読む人ばかりではありませんし、見落としの可能性もあります。

良かれと思って定めている規定を削除し忘れてそのまま使うと、本来必要のない定めが自社に適用されるリスクがあります。

社労士・岩壁

もちろん労働条件を良くすることは素晴らしいですが、一方で一度決めた制度を条件が悪い方に修正することは容易ではありません。特に創業期に就業規則を定める場合、できるだけ法の最低基準に近い就業規則を作成し、事業が軌道に乗ってきた段階で条件向上の見直しをすることを推奨します。

まとめ

  • 費用をかけたくないのであれば就業規則テンプレート利用をしてもよい
  • ただし内容が自社に合うかどうかはかなり細かく見る必要がある
  • モデル就業規則には定める義務がない規定も”良かれ”と思って記載されているため注意