社労士・岩壁
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助成金・補助金の目的
助成金や補助金は両方とも国や役所からお金が支給されるという面では違いはありません。
なぜ企業にお金を支給するのでしょうか?
それはお金で企業を支援することにより、企業成長を助け、国や地域の経済成長や雇用環境向上を目指しているからです。
頑張っている・これから成長が見込める企業に対して助成金や補助金が支給し、最終的には国の発展を目的としています。
助成金や補助金を支給する主体は主に「国(省庁)」「地方自治体」「民間企業」の3つです。
以降、この記事においては主に国(省庁)の支給する助成金や補助金について記載します。
法的な定義はない
助成金・補助金という名称の区分けに法的定義があるわけではないため、実際は「その内容によって」どの士業の専門分野(独占業務)なのかが決まります。
大雑把な内容としては以下に記載はしますが、これが絶対という事ではありません。
助成金とは
主に厚生労働省が実施するものが助成金です。(雇用助成金等と呼ばれます)
一定要件を満たせば原則として誰でも受給することができるのが雇用助成金であり、返済義務はありません。
雇用助成金はその名の通り雇用創出や維持・労働環境や労働条件の向上等を実施することが支給の条件となります。
あくまで労働者のために動いた企業に対して支給するものですから、助成金を受給することが目的化しないよう注意が必要です。
「キャリアアップ助成金(有期契約労働者の条件向上)」「両立支援等補助金(家庭と仕事の両立支援)」あたりが比較的有名な助成金です。
雇用助成金には様々なコースがあり毎年金額や内容が改定されていますが、雇用や就業環境の整備が前提にあるため、ある程度の長い期間をかけないと受給できないものが多くあります。
助成金はあくまでもボーナス的なもので、本来の目的は雇用・労働環境の向上です。
目的を達成した企業に対して支給されるものですから助成金欲しさに不正は絶対に行わないでください。
不正受給をした場合はペナルティがあります。
社労士・岩壁
主な助成金一覧
助成金名 | 主な内容 |
---|---|
雇用調整助成金 | 休業・訓練・出向等により雇用を維持する |
特定求職者雇用開発助成金 | 特定の就職困難者、高齢者、障害者等を雇い入れる |
トライアル雇用助成金 | 一定条件に該当する労働者を試行雇用する |
地域雇用開発助成金 | 雇用情勢が厳しい地域で雇用する |
人材確保等支援助成金 | 処遇、賃金制度、設備導入等により雇用定着・離職率低下をする |
65歳超雇用推進助成金 | 定年を65歳以上へ引き上げ、高齢者の無期雇用転換等をする |
キャリアアップ助成金 | 有期労働契約者や短時間勤務者の処遇を改善する |
両立支援等助成金 | 育児・介護休業取得や女性活躍を推進する |
人材開発支援助成金 | 労働者の技能向上を図る |
業務改善助成金 | 事業場で最も低賃金労働者の処遇を改善し生産性向上設備を導入する |
時間外労働等改善助成金 | 時間外労働の改善や健康推進制度を導入する |
受動喫煙防止対策助成金 | 一定の喫煙所等を設置する |
以下は厚生労働省の助成金の一例ですが、これら以外にも様々な助成金が用意されています。
なお助成金には申請期限や予算があり、当記事掲載時点で終了していることもありますので了承ください。
補助金
主に経済産業省が実施するものが補助金です。
補助金は一定事業にかかった費用に対して補助金が支給されます。
事業継承や設備投資など補助金の目的は様々で、雇用・労働関係を対象としている助成金よりも幅は広く、地方自治体が独自に設けている補助金も多く存在します。
しかし補助金は審査があるため条件を満たしていても受給できないケースもあり、ここが助成金との大きな違いです。
お金が目的化してはいけない
経費の補填をする助成金・補助金は、原則後払いであるという点は共通です。
あくまでも条件を満たした時に受給できるボーナス的なものであり、受給にも時間がかかりますから資金調達の目的としてはふさわしくありません。
また近年は助成金の不正受給が増えていて、厚生労働省でのチェックも厳しくなっています。
書類の改ざん等、不正受給は絶対に行わないでください。
助成金受給は結果であり、目的は労働環境の向上や雇用の創出・維持です。
まとめ
- お金を受給でき、返済義務がないという意味では両者は同じ
- 雇用助成金は主に厚生労働省が支給するもの
①雇用や就業環境の整備に対して支給
②条件を満たせば原則受給できる - 補助金は主に経済産業省が支給するもの
①雇用助成金よりも幅広い目的に応じて支給される
②審査があり条件を満たしていても受給できないケースがある