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採用時の入社書類は何が必要?

社労士・岩壁

会社で初めて人を採用した場合、どんな書類を提出してもらえば良いか分かりますか?おそらく人事・採用担当をしたことがない方だとすぐには答えられないと思います。もちろん会社の事情によって変わってくる部分はありますが、一般的にどんな書類の提出を求めればよいのかをまとめてみました。

手続きや法的に必要な書類

年金手帳

厚生年金&健康保険の加入手続きに使用しますが(通常厚生年金と健康保険の加入手続きはセット)、必要なのは年金手帳そのものではなく基礎年金番号です。

よって基礎年金番号が記載されたページのコピーや基礎年金番号のメモでも手続き上は問題ありません。

年金手帳を会社で保管する企業もあるようですが、個人の所有物なので手続きが済んだら従業員に返しましょう。

20歳以上60歳未満の配偶者を扶養に入れる国民年金第3号(年金の扶養)手続きの場合も配偶者の基礎年金番号が必要です。

マイナンバーで代用可
加入手続き書類には基礎年金番号だけでなく、マイナンバーの記載で届け出ることも可能です。よって近年では基礎年金番号が必須ではなくなっています。

雇用保険被保険者証

雇用保険の加入手続きに使用します。

過去に一度でも雇用保険に加入していた場合は”雇用保険被保険者番号”が割り当てられ、雇用保険被保険者番号は転職をしても変わりません。

よって前職で発行された雇用保険被保険者証を再就職先に提出し、同じ番号で取得手続きをします。

年金番号同様に重要なのは各自の被保険者番号であり、番号が分かればコピーやメモでも対応可能です。

仮に番号が分からなくても、履歴書や職歴メモなどから過去の加入履歴をハローワークで調べることもできますから、番号を紛失した場合は過去加入していた企業名・期間・年代などから調べてもらいましょう。

過去に雇用保険加入履歴がない場合には被保険者番号が新規で振り出されます。

扶養控除等(異動)申告書

所得税計算(給与や年末調整)で使用します。

ただしアルバイト社員などで「メインの職場が他にある」ような場合は、この扶養控除等(異動)申告書は提出できません。

この場合、扶養控除等(異動)申告書を提出しなかった職場では年末調整をしません(できません)ので、年明け2~3月に自分で確定申告をすることになります。

マイナンバー

役所に提出する書類(社会保険加入や給与支払報告書など)に使用します。

マイナンバー管理は企業ごとに異なりますので、場合によっては直接外部委託先に提出する場合もあります。

前職の源泉徴収票

年の途中で就職した場合、その年の年末調整に必要です。

年末調整は他社分給与(退職済のもの)を含めて、その年の給与収入を合算して行う必要があります。

そのために前職分の源泉徴収票で給与情報を入手しなければなりません。

前職収入があるのに源泉徴収票を提出しない場合は基本的に年末調整は見送ることになるため、各自確定申告で対応することになります。

なお良くある間違いは「過去年分の源泉徴収票を提出する」ことです。

年末調整で合算するのはあくまでも同じ年の給与収入であり、既に過ぎた年の源泉徴収票提出の必要はありません。

健康診断書

企業は従業員を雇い入れる際に健康診断を行わなければなりません。

事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。(以下省略)

労働安全衛生規則第43条

企業で受診の手配をすることもありますが、実務的には入社までに各自受診してもらい診断書を提出してもらうケースが多く、入社前3ヵ月以内に健康診断を受けている場合は、その診断書を提出することで雇入時健康診断とすることも可能です。(雇入時健康診断の必須項目を満たすことが条件)

費用負担については特段の定めはありませんが、受診させる義務が企業にある以上は会社負担とすべきと言えます。

なお、健康診断の義務がない短時間アルバイト等は受診不要です。

会社が任意で提出させる書類

通勤手当申請書

通勤手当の支給ルールは会社の就業規則や給与規程により決まります。

会社の定めた書式によって提出してもらいましょう。

給与振込口座申請書 兼 同意書

こちらも通勤手当同様に会社の定めた書式で問題ありませんし、口座名義や番号等が分かるものの写しなどでも大丈夫です。

なお給与支払いは労働基準法上では現金支給が原則であり、口座振込は(建前上)従業員の同意が必要です。

口座を申請してもらう場合は「申請書 兼 同意書」などという名称にして、従業員から口座申請と同時に振込支給同意を取っておきましょう。

誓約書

入社にあたっての守秘義務や服務規定の遵守などの基本的な誓約を取ります。

資格証

事業に必要な資格については、確認としてその資格証の写しを提出してもらいます。

次のようなものが該当しますが、企業の業種等によって変わってきます。

  • 建築士(設計事務所など)
  • 宅地建物取引士(不動産会社など)
  • 運転免許証(運送会社など)

住民票記載事項証明書

自分の身元を証明するものとして提出することがありますが、運転免許証などで代用するケースもあります。

戸籍や住民票ではプライバシーに関わる情報が含まれているため、提出させる場合は住民票記載事項証明書などで必要情報だけの記載にしてください。

身元保証書

従業員がトラブルなどで会社に損害を与えた場合に、それらの損害を連帯保証するような保証契約です。

期間を定めない場合は3年、定めていても最長で5年までとなりますが、身元保証契約は自動更新ができず、都度契約をし直す必要があります。

なお身元保証書を提出してもらっていたとしても、実際の損害などについて全て連帯責任を負わせられるわけではありません。

また、更新作業をマメに行っている企業も実際のところは少なく、形式的になっているケースも多々あります。

法改正
改正民法により2020年4月以降、身元保証契約には賠償の上限額を定めなければなりません。金額を定めると誰も身元保証人になりたがらないですから、身元保証書は実際には形式的なものになっている企業がかなり多くあります。これを機に身元保証書の必要性を見直してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • 社会保険・税金に関わる書類は提出必須
  • それ以外は会社が任意に決めて良い
  • プライバシーなど業務に関係ない情報を収集するような書類は提出させないこと

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