社労士・岩壁
退職時に残った有給休暇を一気に消化する社員は多くいます。特に有給休暇取得開始までに期間がない場合は、企業としては非常に困りませんか?しかし有給休暇は労働者の権利なので企業としては「使うな」とは言えません。このような場合、円滑な引き継ぎを行うにあたっては退職日延長などの交渉が必要になります。
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退職時の年次有給休暇消化での注意点
従業員側から退職時に残っている年次有給休暇を時季指定して全て消化することは可能です。
なぜなら年次有給休暇は労働者の権利だからです。
しかし権利だからと言って一方的に決められたのでは企業側の業務に支障が出ることも考えられます。
双方が話し合いの上で無理ない退職日を交渉する必要があります。
退職希望日を決める
給与締め日に合わせると一番キリが良いですが、転職先が決まっているならば、その入社に合わせなければならない場合もあります。
いつから休みに入るのかを決める
残っている有給休暇をいつから取得開始すれば退職日ピッタリに消化しきれるか逆算します。
有給休暇はあくまでも所定労働日に対して消化できるもので、暦の日数だけ取得できるものではありませんのでご注意ください。
引き継ぎ期間を見積もる
後任確保に要する時間も考慮して引き継ぎ期間を見積もってください。
もし新規で求人をかける場合は募集から入社まで1~3ヵ月は要します。
会社に退職意思を伝える
会社側と従業員側で注意点が異なります。
会社側
退職の意思表示をしている時点で心が固まっていることが大半です。理由を聴いたり引き止めたりすることは自由ですが、もし難しいと思ったら無理に引き止めず引き継ぎ・後任探しに注力してください。(時間は有限です、切り替えていきましょう)退職日の延長交渉自体はOKですが有給休暇を使わせないという対応は違法です。
従業員側
円満退職を目指すためには、自分が引き継ぎまで考慮しているという誠意を見せることが大事です。その上で、退職日といつから有給休暇の消化に入りたいのか意思表示してください。
残日数の消化は必ずしも一気に行う必要はなく、週1~2日程度少しずつ消化するような方法もあります。
なお、当然ですが、残日数全てが退職日までに消化しきれない場合は余った日数を買い取る義務は企業側にはありません。(退職まで残労働日20日で有給休暇残が30日のような場合など)
まとめ
- 従業員が希望したら退職時には年次有給休暇を消化させなければならない
- 円満退社のためには日頃からのコミュニケーションが大事